【ウサジイ昔ばなし】〈143〉・・・美術スタッフT
人形劇には人形が(基本的には)必須。集団創造の場合は、メンバーでデザインしての製作もある。スタッフを立てる場合も、劇団内には人材が多い。そもそも人形劇に係る者は、モノ作りの好きな者が多い。けれど新しい色合いを求めて、団外にスタッフを依頼することもある。そんな中、一度(or2回)きりの出会いだった方も何人か。印象に残るのは…
ジイが入団した年、最初の「西遊記」が制作された。(記憶が確かならば)前作「悟空誕生」に引続き、増原彬陽氏の美術。入団直後とて氏の詳細は知りえていないが、デザイナーであり演出家であったようだ。作品創造の中で演出/関矢氏の思想に共感し、それを地域での演劇講座に取り入れた。その中から生まれた劇団は、今も元気に活動している。なお、荒々しい中にも愛嬌あるデザインは、当時の荒削り(?)な若者メンバーにマッチしていた…と思う。
ジイも演じた「ガリヴァー」では、グラフィックデザイナーの杉田圭司氏。相当に高名な方だったようで、同席しての作業は少なかったが…「フウイヌム=馬の国」の馬作りでのこと。径5oのアルミ線で全長2m程の馬を何頭も作った。デザイン画をベニヤ板に写し、それに沿ってペンチで曲げてゆくのだが、なかなか思うに任せない。たまらず「まぁ、チョットぐらい良いか」と呟いた瞬間、向こうから鋭い視線が!いつもは「あぁ、良いですよ〜」と鷹揚な氏の目が厳しかった。一同沈黙の後、きっちりと曲がるよう苦慮したのでした。
その後しばらくして、水谷泰三氏が「世界にパーレただひとり」。人形劇団「ランダム」を主宰し、丁寧な美術に定評があった。ハンチング帽+顎鬚の大きな体。大根山の稽古場にやって来て、工房などでコツコツと作業をしていた。印象に残るのは、大きな月の書割り。まるで写真のような精密な描写で、〈こういうテイストもあるんだ〉と認識を新たにした。因みに「ウニマ年鑑」(日本ウニマ発行)の表紙・ロゴは、氏の手による。

