【ウサジイ昔ばなし】〈133〉・・・演技2
「石の馬」の稽古。演出/関矢氏・照明/藤井氏・制作/丹下氏、に加えて音楽/熊谷氏、すべての方々が芝居創りに熱心であった。彼らが稽古の場にいると、ジイ達は戦々恐々。〈え〜と、この前この方に言われたのは何だったっけ?〉…各スタッフのダメ出しがそれぞれだったのです。よって、居合わせる方の意に沿う様に演じ分けることになる。具体的な…例えばどちらに動くべき等が、正反対だったりするわけです。でもね、やがて判ってくるのです。言わんとする本意は同じ所にある&それを具現化する道筋は無限にある…と云うことを。結局、実に自由奔放(?)なスタッフ各氏の言動は、若きジイ達を育ててくれたのです。
そんな30代を過ぎた頃、人形劇団京芸の辰巳氏を招聘しての学習会。確か人形操作などについてだったはず。講師席には劇団にあった様々な様式の人形が数体あり、まずはそれらを遣っていただきました。すると実に嬉しそうに人形を撫でまわし、あれこれと試した後に演じてくださいました。〈人形が大好きなんだなぁ。上手く操作しようなんて云うんじゃなくて、遣ってるのが嬉しいんだなぁ〉そんな風に感じた。演技に向き合うあり様のひとつを、改めて感じた時でした。…今も覚えている質疑応答=「会話している人形の横にいた場合、どのような演技をすべきですか?」「そりゃあんた、聞いてたら良いんやないかなぁ」…人形だから特別ではない、人形がそこで生きていれば良い。何も特別なコトをする訳ではない。当り前ですが、「ん〜」と唸らされるお答えでした。