【ウサジイ昔ばなし】〈127〉・・・舞台監督
劇団の各公演グループには、責任者=班長がいる。小学校公演班には別に舞台監督を置き、複数での運営をしている。ところで舞監というと、上演当日のステージを管理する他、上演作品の創作・質の維持の進行役となる。が、当人の資質によってあり様は異なってくる。ジイは1980年代「悟空誕生」2年目〜「西遊記」2年目の4年間、舞監の任に就いていた。班長のC氏が公演先・外部スタッフの対応にあたり、ジイが稽古関係・舞台設営関係を担当していた。班にはもう一人の先輩=U氏もおり、傍目八目的に足りない部分を助言してくれていた。
ところで当時は、子ども・おやこ劇場全盛期で、1ヵ月ほどの旅公演が多かった。寝起きを共にする長丁場の旅公演。その頃は旅館が多く、大部屋で文字通りトモニしていた。上演に際しては常に新鮮であろうとは思っていても、生活環境的に「慣れ」は発生してしまいがち。そこで舞監のジイは、旅に出る際に「ネタ」を幾つか仕込んでいた。…それは…チョット狡いやり方ですが、いつもとは違う状況を人為的に起こすと云うモノ。例えば…「西遊記」で、既に出番の終わった白馬を登場させ、悟空に対峙させる。(後半に数分、ジイの手が空く時間があったのでしょう)⇒周囲の役者は驚いたようでしたが、肝心の悟空役=C氏には「お前の出番は終わったんだよ!」と一喝されてしまった。役者が一枚上でした。
役者集団自体も新鮮さを欲していたのか(?)・・・佐賀県多久市での上演時、「ったく〜」が連呼された。各自が自分の台詞のどこで使えるか考え、それとなく発していたと記憶してます。そのツアー・別公演では「ドモリ」のオンパレード。事の発端はある役者が台詞を噛んでしまった。その後、自然発生的にチョットずつ嚙みがちにドモルが始まった。ただ一人終盤までソレのなかった先輩=U氏は、大団円となる筋斗雲の投げ手。悟空の「お〜い、筋斗雲〜!」に呼応して「お、お、お〜!」いや、そこでやるとは参りました。